2016年07月25日

ヤマダ氏、「ピンポンTHE ANIMATION 」を観る

というわけで夜な夜な「ピンポンTHE ANIMATION」を鑑賞しておりました。
執筆のあとの息抜きを兼ねて。
ピンポンといえば原作コミックは好きですし実写映画も最低限のクオリティは維持できていて、悪くない感じだったんですよね。もちろん、アニメ化したことも聞いていたんですが、あんまりアニメって見ないので、スルーしてました。
今回、うちの長男と卓球で遊ぼうという話になった時に、何か予習させたいなと思ってチェックしてみた感じです。

いやー、これは凄かったですね。なぜ今ピンポン?みたいな疑問もあったんですが、これは納得せざるをえない出来。
まずは絵っすわ。子どもには微妙に見えたらしいですが、個人的には最高。というかコミックまんまやんけという。動くべきところはちゃんと動かすしマンガ風にコマを流すのも面白い。ところどころに低予算を感じさせる微妙な部分もありますが、肝心のゲームを中心に卓球らしさがよく出来ている感じ。オープニングも前半はアレですが後半は凄みを感じるクオリティ。

そして、それ以上に凄いのがシナリオ周辺。
とにかく原作の補完と掘り下げが凄まじいっすわ。
もともとピンポンって松本大洋特有のノリ重視なおかげで、ちょいちょい説明不足であってもテンポや勢いで突っ走る部分が多くて、そこが疾走感を生んでたんですが、今回は地に足のついたスポ根群像劇として完成されていていい感じ。
原作はペコとスマイルの話、映画は尺の関係でよりペコ中心。だけど、今回はドラゴンとチャイナのエピソードを多数追加。オリキャラを出して掘り下げるという試みがなされています。
これが大成功。原作では、個々に読者の想像に委ねていた部分が少なからずあったんですが、そこを原作ファンでも納得するような補完をしているのがスゲーっす。
特にチャイナ関係は中国の卓球をよく勉強しているし、来日後の辻堂の部員らとの交流や母のエピソードを絡めることで、この部分だけで山田洋次監督作品っぽい奥行きがあるほど。
ドラゴン周りは原作でもかなり描写が少なかったんですが、そのあたりも「これでもか」というほど補強してあります。家族や親戚関係、チームメイトとか。
ペコとスマイルの関係も、あえて台詞で説明させたりして原作のバランスを維持しつつ、分かりやすく補完できている。
おかげで全体を通して、すごく感情移入しやすくドラマティックに仕上がってます。
キャプテン太田も電気屋エピソードを加えることでスマイルとの関わりに整合性が取れた感じがするし。
逆にちょい説明し過ぎで興醒めする部分もありました。ドラゴン戦前のペコの台詞とか。
でも、それを差し引いても、十分プラスというか、むしろ初見の人に優しいだろうなと思います。

あと現代向けのアレンジが徹底してたのも興味深いっす。スマホとかSNSとかの演出もそうだし、卓球についてもそう。
原作の時点でペンホルダーの裏面打法は割とポピュラーだったりしたんですが、今回はペコについてはかなりアレンジしてきました。チキータ・ミユータは蛇足だと思いましたが、反転ペンは古くて新しい感じがして面白かった。
日本式の反転グリップは昔からあるんですよね。異質攻守型の選手が使うラケットとして。
女子選手に多いイメージです。片面に摩擦係数の極端に低いアンチラバーを張ったり、粒高張ったりして、ショートや台上でコツコツとミスを待つ感じ。男子ではほとんどいなくて、私の現役の頃は中学の大会でたまに見るくらい。そういえば拙作「テーブルの上のスカイラーク」に出てくる仏具屋のおっちゃんがこの戦型だった思い出。まあ、要するに「おもちゃ」なんですね。そのおもちゃも、ヒーローが使えば極上の魔法に変わるというところが凄く面白いアレンジでした。
ただ、最終的なローターに行き着くまでに両面裏ソフトを経由する必要はあんまりなかった気はしますが。表ソフト速攻の人も下がるとナックル気味のドライブかけてるの見るし、できる人はドライブかけられるんじゃ。むしろいきなりペンカットの方が無茶っす。



とはいえ、トータルでは素晴らしいクオリティです。よくわからないけど、深夜アニメでやってたわけでしょ?とてもそんな風には思えないっすわ。
卓球云々関係なく本当に良質なスポーツ群像劇になったな、と。
窪塚の「I can fly!」はないけど。


ラベル:卓球 アニメ
posted by ヤマダマコト at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | その他エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月19日

KUについて考えてみる

今はお盆前の仕事の大詰めで忙しい上に、余分なリソースは新作に投入しているので、それ以外の活動はほとんどやってません。ヤマダです。
そういえば、8月から国内導入される読み放題サービス、KindleUnlimited ことKUについて、ぼちぼち確定情報が出てきました。
気になるのは、小学館や講談社が参入するらしいこと。これは気になります。
KDPというのは出版社の人気タイトルといかに差別化し独自にニーズを捉えていくかが重要だと思われるので、この読み放題の部分については、あまり楽観視はできないと思います。ガイドやアダルトなどの実用性のない小説書きには。もちろん出版社のラインナップにもよりますが、読み放題なら、お高い出版社の本を優先するし、それだけで元が取れちゃう。しかもマンガとかもあるだろうし。
価格優位性のない読み放題では、KDP小説は今まで以上に苦戦を強いられるはず。
KOLはどうなの?そこそこ読まれるやん?っていう反論がありそうですが、KOLはぶっちゃけKDP本ばっかりなんで、そこまで競争が激しくない。だから狭い市場でもやっていけたんだと思います。
だから、今回はちょっと異質な感じが。

問題は、このKUがKindle市場全体でどのくらいの割合になるのか。
有料販売をたんまり食われてしまうと、KDPでやってる身としてはお手上げな感じがあります。
逆に上手く棲みわけしてくれれば、すごくありがたい。
確か読み放題といっても1度にDLできる本は限りがあるそうなんで、「これは買っておきたいな」という傑作であれば、意外にチャンスかもしれないし。

理想としては、小学館や講談社のラインナップが微妙で、KU目当てにKindleに手を出した人が失望して有料販売に手を伸ばす展開です。なんにせよ市場全体の底上げにはなるはずなので、出版社にできないネタさえあればチャンスは広がりそうな気はします。




ラベル:KDP
posted by ヤマダマコト at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする