2015年01月29日

今さらドラえもん 新のびたと鉄人兵団を観た感想

男子は、ましてや小学生であっても恋愛については打算的であり、決して純情ではないと思う。
好きなるのが必ずしもクラスで一番の美女ではないということ。とくに私のような、決して男前でもなくスポーツ万能ではない冴えない男子はとくにそう。
だいたいクラスで18人くらいいる女子の中で6番目から10番目くらいが好きになります。
それは、1番の子は自分になんか目もくれないだろうから、という悲しい打算であって、
逆に目立たない子なら「こんな私を見ていてくれたなんて」みたいに思ってくれるような錯覚に陥るわけです。
実際にそんなうまくいくわけはないんですが、冴えない小学生男子はそこに夢を見るわけです。
もしも、そこそこ可愛いんだけどちょっと性格が捻くれていたり、変わった家の生まれで、いじめられてたりハブられてたりする子がいたら、密かにその子にすごく一方的な興味を持ったり。

先日、たまたまドラえもん映画「新のびたと鉄人兵団」を観て、小学生の低学年のころ、リアルタイムで旧作の「のびたと鉄人兵団」を観たときの印象を対比させ思ったことです。
同時に、この思い出こそが、この新鉄人兵団の、リメイク作品としての私の評価になるのだろうと思いました。

同作品は旧作の鉄人兵団をリメイクしたドラえもんの劇場版長編作品です。
地球制服を企む遥か宇宙のメカトピア星から来た鉄人兵団とドラえもんたちが戦うというストーリー。
のびたが偶然、鉄人兵団の尖兵である巨大ロボットを拾ったことがきっかけで事件に巻き込まれる展開。
ドラえもん映画の中ではシリアスでホラーテイストが特徴の作品で、そういった作風の中で、メカトピアからの工作員で、人間世界に特化した美少女型ロボット、リルルが重要な役割を果たし存在感を示す展開が高い評価を得ました。
80年代のトレンドですよね。美少女と巨大ロボ。
近年、パラサイトイヴでホラ大を受賞した瀬名秀明がノベライズもしました。
私は年末のテレビ放映で観ました。
この物語のエピローグは、他の映画ドラえもんと違い、何も変わらぬ日常に戻るのではなく、ちょっとしたサプライズがあるんです。
私はエンディングテーマとともにブラウン管の中を飛び続けるリルルを眺めながら、続きが観たいと強く思ったことをよく覚えています。

一方、今回のリメイクは巨大ロボの頭脳をマスコットキャラクターのピッポとし、リルルの友達にして2人の絆と同時に旧作では語られなかったメカトピアの描写を加えたのが大きな変更点だと思います。

個人的には、リメイクはすごく上手くやったと思う反面、どこかで何かが足りないという印象でした。
たしかにメカトピア関連の描写が増え、不気味さが減ったのは間違いないのですが、それだけではないように思ったわけです。
リルルだって、そんなに出番が削られたわけじゃないし。作品としては、こっちの方が新しくて色もきれいだし。
ネットで感想を見ても極端に分かれてます。
こういうオリジナルの評価が高い作品では、熱心なオリジナルファンが細部の違いを指摘し、リメイクを批判するのはよくあることですが、それだけではないような。

で、色々考えたときに、ふと思い出したのが上述の恋愛における小学生男子の思考。
多分、これなんだと思います。
私が好きだった旧作のリルルはひとりぼっちなんです。
メカトピアの異形の戦闘ロボットの中で1人だけ人間型なんです。どう見てもメカトピアの価値観からしたら異端で、いじめられてそうじゃないですか。
でも人間基準ではメチャクチャ魅力的。これは、冴えない小学生男子の最も好むキャラクターなんですよ。
一方でリメイクのリルルにはピッポという親友がいます。
その時点で、冴えない男子にとっては、届かない存在なんです。
ひとりぼっちだからこそ「こんな私を見ていてくれたんだ」のマジックが成立するのであって、ピッポがいては成り立たないんです。
つまり、このリメイクへの微妙な不満はピッポへのささやかな嫉妬に思えてなりません。
F先生にとっても思い入れのある作品だったそうですが、コミックの改稿経緯を見るに、F先生自身もそういう小学生男子的な意識があったのかも、と思って見たり。
そしてリメイクの監督が女性というのも象徴的です。すごく良い仕事をしたと思うのですが、やっぱり微妙な小学生男子の男心にまでは気付かなかったのかも知れない。

基本的に私はリメイクを肯定します。今の子どもに見せるなら絶対こっち。でも冴えない小学生男子やかつてそうだった人にはオリジナルを勧めると思います。そんな感想でした。

ちなみに私は自宅で5歳の長男と観ましたが、あまり興味がなかったらしいという。今の子は巨大ロボットよりコナン君や仮面ライダーを選ぶのだな、と。
ちょっと悲しいっす。


ブルーレイ版はこちら

posted by ヤマダマコト at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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