2015年02月21日

勝手にKDP本レビュー1★テスタメント

きのうは激務のあとで意識不明の中でブログ書いたんで訳わからないことになってますね。
広末のデビュー曲なんて、自分が覚えてるとは思わなんだ。私が書いたんかな?
まさか多重人格の仕業?

というわけで最初は栗見鳴さんの「テスタメント」
あえて完全版じゃない方を買い揃えました。もともと次作を尺の関係で、上下あるいは上中下に分割しなきゃならない状況だったので、その参考にしたかったこと。ミステリー好きで、KDP本では珍しい本格ミステリーのヒット作ということで興味があったために読みました。

内容は、むごい殺し方をする連続殺人事件に警視庁本部の犯罪心理学に長けた捜査官の辻と所轄のベテラン刑事の奥森が立ち向かうもの。

感想としては、さすがに上手いな、と。硬質で無駄のない文章もそうですが構成も無駄がない。
とくにこの手の長編本格ミステリーとなれば、プロローグ部分に別視点でのカットバックを入れてしまいたくなるものですが、そこを踏みとどまって電話から始めるのは正解だと思います。導入がすごくスムーズ
あと警察組織についても、昨今のテレビドラマでもいい加減なものがある中、きっちり調べているのが分かります。さじ加減も絶妙。少なくともウンチクはリアリティのためには重要ですが過剰投与は飽きられますし。
無駄な演出や描写を省きつつ、でも必要な部分はちゃんと書いてるのは、物語の作り方が分かっている人なんだなと感心させられます。
例えば主人公である辻の姉に関するサブプロットを並行して描き、ちゃんと本筋に絡めていく部分には手慣れたものを感じますし、「所轄の刑事」という典型的なキャラである奥森も、顔なじみのそば屋さんのエピソードで、しっかり立てていて、安易に設定に頼らない部分もすごく「分かっている」
ラストも大げさにしたくなる部分を堪えて、さらっと終わらせてる。これは勇気がいることだと思います。私なら怖くてできないかも。
そして、全編を通じて警察のオッサンたちの会話が良い感じ。オッサンマニア歓喜だと思います。
すごく斬新な設定があるわけではないですが、丁寧な筆致で、とにかく読ませてくれる作品でした。

個人的に惜しいなと思った部分もないわけじゃなじゃなくて、まずは犯人の特異性を考えて、主人公の辻の葛藤があっても良かったです。ネタバレは避けますがプロファイルとは相性が悪い犯人で、しかも辻にとっては個人的な感情もある。なら葛藤させて、場合によっては現場主義の奥森と対立させても面白かったかもしれない。
あと、もうちょっと辻というか読者を惑わすミスリードがあっても良かったかも。中盤、聞き込みで犯人とおぼしき人物が複数登場しますが、みんな魅力的。どうせなら、もっと紛らわしい立ち回りで読者を混乱させて欲しかった。ちょっと犯人の登場を焦りすぎた感がありました。なんというか、もったいない。
犯人の掘り下げとか辻の心境の変化とかも抑えめでしたし、姉の思い出との絡みはもう少しドラマティックでも良かったかも。
ただ、これらの部分は栗見さんが意図的にやってる可能性が高いような。どう考えてもそういうレベルの書き手とは思えないのですよ。
おそらくですが、もともと乱歩賞用応募作で500枚に収めなきゃいけなかったとか、あるいは続編で明かすのか。なんか理由があったのかなと勘ぐってしまいます。
個人的に後者だったらいいな。犯人がレクターポジションになったら面白そう。
間違いなく読んで損はないと思う。ミステリーは人気ジャンルなんで、Kindleでは出版社がたくさんミステリー出してますが、ぜひ、これも購入候補に入れて欲しい。完全版ならお買得ですしね。



posted by ヤマダマコト at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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