2015年04月23日

勝手にKDP本レビュー6★PS03

なんかバタバタしてますが、無料キャンペーンでポチった夏居暑さんのPS03がことのほか面白かったので。
他にも先にレビューしたい本とかあったんですが、色々な人がこの作品を評していて、そのうち自分が書くことがなくなりそうだったんですよね。
内容は表紙帯に「新型ダークヒーロー誕生」とあるように、司法試験に8回落ちたPS03こと樋渡K助が法律を盾に姑息かつ悪質なイタズラで法で裁けない悪者を懲らしめる内容。
K助は司法試験に合格する実力がありながら、試験本番で力が発揮できず、司法浪人崩れの中年ニート。
かたや相手は悪質なモンスターペアレント、クライアントはK助のかつてライバルであり親友、司法書士として独立した男の娘で小学生。
非常に身近な場所を舞台にした世界観が楽しいです。

読了した最初に感じたことが、シンプルな展開ながら、ちゃんとおさえるべきところをおさえた素性の良い作品だということ。凝ったギミックとかアクロバティックなミステリ要素はほとんどなく、起承転結のタイミングとセリフ、地の文だけでエンタメとして十分に楽しめるんです。
野球でいえばストレートの内外の出し入れだけで勝負できるような感じ。
エンタメ小説はキャラクターと世界観、雰囲気さえしっかりしていれば、基本的な構成でも面白い作品は作れるのだと改めて思わされました。

個人的には、新型ダークヒーロー誕生のフレーズはキャッチーでしたが、最後まで読んで少し違和感がありました。多分、夏居さんは、インパクトのために誤解を覚悟でつけのかな、とも思います。
ネタバレになるので言えないのですが、どちらかといえば、現実を認知する物語というか一種の青春小説の変形に思えました。

司法試験に落ちまくって挫折したK助がある種のニヒリズムに陥りPS03となった、というのがダークヒーローとしての建前なんですが、実はそうじゃないわけですよ。
ちゃんと序盤から伏線が張られていて、決してそうではないことが描かれている。
で、後半のあるタイミングでK助は窮地に追いやられ、同時に自分を見つめ直す機会を得るわけですが、そこが1番面白かった。
月並みですが、ただ姑息なイタズラで活躍するヒーローの物語であれば、レビューなぞしなかったと思います。
司法試験もそうだし、社会で人と接していく生き方もそう。不条理な世の中とどう向き合っていくか。
実はこの物語、K助以外のメインキャラは成長も変化もないし、環境もあまり変化しない。敵も1人だけ。変わるのはターゲットを除けばK助だけなんです。両親はいますが。
個人的には「ダーク」はいらない気がしました。

ちなみに勿体ないなと思ったのはボリュームですかね。連作でいいんで、複数のエピソードがあればラストがより印象的な作品になった気がします。っていうか面白い作品なんで、もっとこの世界に浸っていたいです。



あと余談ですがPSO3(ピーエスオースリー)ではなくPS03(ピーエスゼロスリー)なんですね。
posted by ヤマダマコト at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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