2015年06月30日

勝手にKDP本レビュー13★東京フラッパーガール

久々のKDP本レビュー。
今回はGWのセールのドサクサで購入した杉浦絵里衣さんの「東京フラッパーガール」
前からパワフルな表紙が目立ちまくっていて、いつか読んどこうと思っていて、たまたまセールで購入。けれども自作がバタバタしていたおかげで、なかなか読めなかった本でした。今回、ようやく読み終えたので。

内容は、昭和初期、血なまぐさい時代が始まる開戦前夜の東京。
主人公は伯爵令嬢の二宮環。堅苦しい軍人一家を飛び出して探偵事務所を開業した19歳。実際、19で所長は無理だろ、と思うけど、あの時代だとそんな不自然な感じがしないのがポイント。今の19歳よりずっと大人だし。そういう意味では、キャラと世界観のマッチという意味でうまいことやったな、と思いました。
フラッパーガールのイメージはもうちょいダーティーな気もしますが、未熟で自由奔放という意味ではしっくりくる感じ。
結果的に、ちゃんと少女らしさを残した真っ直ぐなお嬢様になっていて、みんなに愛される魅力的なキャラになったのだと思います。
仮に私が考えたら、29歳バツイチのクレイジー放蕩娘で別な意味で大暴走しそうですもん。
で、どっちかというと、暴走娘とは言ってもクレイジー系ではないし、むしろフラッパーな部分を、今風にアレンジして、良い意味でフェミニスト的な部分が前に出ていて、すごくとっつきやすい印象です。意外と素直でインテリ系というか。
ある意味、この時代背景でしか出せないキャラだと思います。昭和30年代とかだと、戦中生まれでこういうキャラにはなりえないですし。
そして、相棒の葛葉氏も、非常に女性ウケしそうな良いキャラ。ちゃんと物語にも絡んできますし。

物語は、この探偵事務所に舞い込んだ依頼が思わぬ方向に行くという王道的展開。とくに中盤以降の事件の全容が分かったあたりからめちゃくちゃ面白い。この時代ならではの展開。ベタだけど、こういうものが読みたかった、という感じでした。
そして「葛葉氏まだかー」と叫びたくなるもどかしさ。やっぱり頼りになる男はカッコよかバイ。
文章も展開もソツがなく、隙がなくきっちり〆てる感じ。
欲を言えば、もっとこの世界を堪能すべく細かい描写があっても良さげですが、かわりにテンポがすごくいい。緩急の付け方も巧み。
というか葛葉氏、出番は実はそこまで多くないのに存在感半端ねぇっす。そういう意味では、メインキャラの魅力で押し切る正統派ラノベスタイルといいますか。彼の存在で引っ張られてる感じがしました。

ビビったのは、環ちゃんがデレるのがめちゃくちゃ早かったということ。結構、序盤からですよね。普通なら中盤以降がお約束じゃないか、って思うわけです。
環ちゃんの暴走した感が薄いのは、そのおかげだったのかもしれません。ずっと自分の感情の変化に苛立ってる印象がありました。そこら辺が普通の女の子過ぎて意外。
そして、逆に、デレてからは、かなり焦らされっぱなしという。その感情の変化がサブシナリオ的な部分なんですが、もうね、読んでいる方は、なんかじれったい訳でございますよ。もどかしい。さっさとゲロっちまえよ、的な。
しかも、それが物語に絡んでくるという。ここら辺で賛否がありそうですが、どう考えても、ここが作者の描きたかった部分だったんでしょうし、つっこむのは野暮なんだろうと思います。
あと、本編のあとの後日談は、いい年したおっさんには厳しかったかも。すごく面白いんだけど、これを面白いと思う自分に対して、正直になるハードルが想像以上に高いのです。

それにしても、すごく魅力的な世界観ですね。続編も必ず読むだろうし、このまま、もっと、この世界観を広げていってほしいです。



でも、ちょっと羨ましいし悔しいですよね。こういうの。
posted by ヤマダマコト at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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