2015年09月12日

勝手にKDP本レビュー15★「ヘビー×スモーク×ビタミン」

なんとなく読み返してた松原なずむ氏の「ヘビー×スモーク×ビタミン」。たしか、本人に感想をメールで送ったんですよね。
なんで、このタイミングでこれを読んだのかというと、作者の松原氏の若さですよ。
もうすぐリリースする卓球小説「テーブルの上のスカイラーク」の前身となる作品を初めて書き上げたのが、多分、今の松原さんと同じ年頃なんです。
今回、過去の自作を振り返ったんですが、どうしても、約10年前に書いた自分が、どういう意図で考えたのか理解できないエピソードがあったりしたんです。
で、とりあえず若さが欲しかったわけですよ。ちょうど、彼の小説を書く動機や取り組む姿勢が自分と重なる部分があったし、ジャンルは違えど作風が重なる気がするので。だから、何か自作のヒントがないかな、と。

作品は探偵物ライトノベル。傍若無人で栄養学に精通した探偵・刺叉(さすまた)と有能過ぎる美人助手・糸折(いおり)の活躍をクライアント視点で描いた作品。ミステリ分は抑えめで、むしろ、2人のコンビとテーマが相まって「美味しんぼ」的な印象が強かったです。サスマタさん、山岡士郎やんけ。いやグルメうんちくは皆無ですが。
物語的には複数のエピソードで進め、終盤にライバル事務所を出すなどベースはしっかりしてる感じです。その辺はすごく手堅い。
この視点のチョイスは正確でした。普通、ワトソン君ポジションから描きたくなるところをうまくやったな、という感じ。せっかくならクライアントに爺婆や外人がいても面白かったかも。

一方で、惜しいなーと思うのはキャラの掘り下げが甘かったかな、という。山岡士郎は親とのいびつな関係がああいうキャラにしたわけですが、この探偵のバックボーンは描写がちょい甘い気がする。どこで栄養学を学んだのか、とか。
面白いキャラだけにもったいないです。そこら辺はどのキャラにも言えるんですが、タイト過ぎるんですよね。
もしかしたら続編前提なのかもしれませんけど。
あとは手堅い一方で凄く律儀でお行儀が良すぎる気が。そんなに型にはまらなくてもいいのにな、って思います。このくらい書けるんなら、もっと自由に面白そうなことをガンガンやればいいのに。そこら辺に今時の若者の気質が見え隠れする気が。

個人的には松原氏は、実はラノベより一般エンタメの方が凄い作品を書きそうな気がするのです。描写とかとんがってる部分があって面白いし、昨今のラノベのトレンドからは外れたポジションに得意なテーマがありそう。
もちろん、本人が好きなものを書くべきですが、実はサバイバルホラーとかでブレイクしそうな気がするんですよね。この文体や描写に向いている気がするのです。方っておいても、この人はどこかで殻をぶっ壊してすごい作品を書きそう。



とりあえず新作を待ちましょうぜ。
posted by ヤマダマコト at 14:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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