2015年09月24日

恒川光太郎「草祭」を読む

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というか、ちょうど、恒川光太郎「草祭」を読了したので、ちょいと。彼はデビュー作のインパクトが凄まじい作家ですが、この作品が1番好き。地に足が着いて深みが増した文体と世界観がいい。以後の作品も悪くないんですが、よくも悪くも小説としてノーマルになってきたというか、スピッツでいうところの「crispy!」的なバランスなんですよ。あっちはしばらく無難に、「隼」で先鋭化、そこからは侘び寂びの境地に向かうわけですが、恒川光太郎はどうなるのか。

そんな作品ですが、「美奥」という山間のまちを舞台にした短編連作。私的には、このまちのイメージを県内に重ね合わせると、栃尾や加茂、あるいは小千谷方面のイメージなんですよね。津川あたりにしては開け過ぎているし。
いつものように物の怪と人間、現代日本と異界の微妙な交差点が描かれているわけですが、個々のエピソードの完成度、ビジュアル喚起力では頭一つ抜けている感じがする。国産のファンタジー小説でここまで豊かなイマジネーションって他に思いつかないです。あくまで私の嗜好もあるし、そこまでファンタジーに詳しいわけじゃないですけど。

どれもいい作品ですが、個人的には「屋根猩猩」と「天化の宿」が好き。前者はどこか、宮沢賢治っぽい雰囲気とオチがたまらなく好きで、後者はカードバトルの最後に、あのオチ。あのラストの一瞬のために映像化して欲しいほど。
ちなみに「くさのゆめものがたり」「朝の朧町」も凄くいい。この書籍の本質をつくような作品。クサナギによるドラマティックな展開は不覚にも泣きそうになるという。
それと全編通して、恒川作品恒例の人の悪意のリアルな描写がいい意味でアクセントになってる。それこそマサムネの甘い中にあるくぐもったエグみみたいな。

それなりにセ
ールスも好調みたいですが、もっと売れていいと思うし、何かしらのタイトルを獲ってなきゃおかしいと思うんですよね。

posted by ヤマダマコト at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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