2016年03月30日

勝手にKDP本レビュー★30割鞘義一郎「魔球投手1 ダイヤモンドの魔術師」

どこぞの赤毛のお嬢さんが激奨していた割鞘義一郎さんの「魔球投手1 ダイヤモンドの魔術師」を読了。
いやー、凄かった。
KDPには上手いなーと思う作品や面白いと思う作品、あるいは嫉妬するようなセンスが感じられる作品はいっぱいありますが、こいつは「ぶっちぎりで凄い」としか言いようがない。

近未来、内戦が一時休止した日本を舞台にしたプロ野球エンタメ。NPBは全日本プロ野球リーグ(神聖プロ・リーグ)が行われているんですよ。それもタイムリーな賭博的な感じで。
その中で、4年連続リーグ最下位の東洋トルーパーズが、地下組織の野球リーグで、存在を伏せられた都市伝説的な闇リーグに試合を申し込まれるんです。闇リーグはトルーパーズを皮切りに神聖プロ・リーグを食い潰していこうと企んでいるわけです。というか、この荒廃した日本ではプロ野球は国家的には凄く重要という。そして、見え隠れするデンジャーなフーリガン・シンジケートの影。こいつらはイスラム国的なヤバさらしい。
その危機的状況のトルーパーズに加わるのが魔球の使い手、月影祐摩。実は彼の父親、星原鉄男は常勝軍団ジャガーズのコーチでありながら実は、的な。
もう、ここまででもクラクラするほどの情報量。そしてなんでもあり。月影の魔球はガチ魔術なんで、人は死ぬし天変地異は起こすし。あと、普通に幽霊とか超常現象もありですし、銃もバンバン発砲する。

マンガ大国日本、ハリウッドのアメリカ。この2国で盛んな球技だけあって、両国を中心に野球を題材にしたエンタメは星の数ほどあります。中にはかなりキテるものもありますが、設定を見るだけで、この作品は良い意味で極北的カルトエンターテイメントに仕上がってる。比べられるタイトルはあまり見当たらないと思います。
昔、コミックボンボンに、人類の存亡を賭けて、月面で火星人相手に巨大ロボに乗って野球をするという凄いマンガがありましたが、それ以来の衝撃かもしれない。

ただ、この作品は単なるオンリーワンじゃないんですよ。まず、かなりぶっ飛んだ設定でネタに走るかと思えば、んなこたーない。ガチです。ところどころに、往年の大リーグボール的な小ネタは挟みますが、終始、真面目。大真面目。重厚な文章と繊細な人物描写、膨大で緻密な設定で、このクレイジーな設定にリアリティを持たせることに成功しているんです。いや、マジで上手い。
最初はおバカ系かと思ったんですが、なんていうか、突き抜け具合にメロメロになっちゃう。
ストーリー運びも巧み。凝った仕掛けはないですが、終盤のリターンマッチとか熱かった。
あと、あとがきにもありましたが、作者はさほどプロ野球好きじゃないんだろうな、という感じは分かる。月影以外は結構投げやりというか、月影以外の選手のプレーはどうでも良かったのかなーと。そこは個人的にはプラスと捉えたいです。大事なのは「魔球」でしょうし。
あとは、本作はシリーズものの序章。オープン戦開幕直後でしかないので、個々のキャラクターの評価は難しいですが、かなり良いです。
舞台も近未来より現代にした方が異常性が浮き彫りになって面白いかも、と思いましたが、きっと、この設定が次作以降に重要になるんでしょうね。



とりあえず表紙がないのが勿体無いですが、多分、この作品に見合う表紙は難しそう。
あと、長い作品なので目次にリンクがあると嬉しかったっす。
posted by ヤマダマコト at 15:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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