2016年11月29日

勝手にKDP本レビュー★40竹中由浩「ユキ」

ことし夏に、王木さんの「夏の魔物」と一緒に課題図書にしていた竹中由浩さんの「ユキ」をようやく読了。んで、40作目の節目のレビューらしい。
この小説は、かつて甲子園を沸かせた元プロ野球選手の秋本と、中学の野球部でイップスを抱えてしまった少年・翔太、そして謎の若い女・ユキを軸にした物語で、秋本と翔太が釣りで出会った川・生更木川のために行動を起こす、という展開。タイトルは「ユキ」ですが、秋本視点で見てしまうのが、おっさんの悲しいところ。
ちなみに表紙がいかにも某釣りキチ風味ですが、釣りマニア専用というわけではないので、ご安心を。むしろ万人向け。

以前から気になっていたんですよ。竹中さんは本職のライターでリールなんかの釣り具系のKDP本をたくさん出していて、私も釣りは結構好きだったということもあり、普通に本を買わせていただいていたこともあるし。また、ちょうどリリース時期が私の「山彦」と近くて、同じカテゴリーということもあり、ランキングで見かけることが多かった。その表紙から、面白そうオーラが出ていたわけです。

あらすじを見る限りでは、夢破れた秋本が翔太を導くハードボイルド的な雰囲気ですが、どちらかと言えば、ヤングアダルト的というか、児童文学っぽい手触りですごく読みやすかったです。というか、表紙がもうそんな感じですよね。竹中さんはブログで「ラノベ調」と言ってましたが、むしろ、かつてのNHK教育テレビのジュブナイル向けドラマを思い出しました。分かる人には、そっちの方が分かってもらえるはず。最初は戸惑ったけど、これはこれでアリだなぁ、と。
ストーリーは3人だけにとどまらず、地元自治体の汚職や建設業者との癒着、さらに魚類の研究者などにも広がっていく感じもすごく好み。とくに魚関係のうんちくは本職だけあって、情報量は抑え目ながら、文章の向こう側に膨大な知識が感じられるのがすごい。
ちゃんと野球がサブストーリーとして機能しているのも良い感じで、物語としてはシンプルながら必要十分な感じがしました。

一つ気になったのは、翔太がアクションを起こすきっかけがちょっと弱い気がすること。もっと釣りや川との関わりが書けていれば、動機付けがスムーズになる気がしました。本当に些細な部分なんですけど。




ちょいと季節外れではありますが、ぜひ、他の人にも読んでほしい。どう考えても私の好みにストライクなわけですが、きっと、好きな人は多いと思う。埋もれさせておくのはもったいないっす。
竹中さんも、売れれば小説を次から次へと量産してくれるかもしれませんし。

ちなみに私は、小中学生のころに吸い込み針でコイを釣るとか、サビキでイトヨを釣るとか、あんまりスタイリッシュな釣りはやってないっす。平野部の人間だし、渓流は敷居が高かった思い出。駄菓子食いながら遊んでた感じです。
ラベル:釣り KDP Kindle
posted by ヤマダマコト at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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