2016年12月26日

勝手にKDP本レビュー★43江波武俊「間(あわい)」

クリスマスも終わって、ことし最後のKDP本レビューは、江波武俊さんの「間(あわい)」。静かな純文学で締めくくりたいなと思いました。
この本をチョイスしたきっかけは表紙の写真の雰囲気。この感覚、海の色や民家の感じ、空気感がすごくシンパシーを感じました。多分、太平洋側の人にはわかりづらい感覚かもしれない。
で、気になって著者セントラルを見ると、新潟県佐渡市出身だそうで、王木さんをはじめ同郷の方がたくさんいるなと感心しました。
で、本作も舞台は佐渡島ならぬ佐都島。主人公の経歴などを考えると私小説的な側面もあるのかもしれない。
佐渡っぽさはさほどでもないけれど、帰郷後の桜子の家の描写が妙に生々しいというか、東京から地方帰る人が経験する感覚っぽいなと思いました。あと、田舎の人間関係なんかも。私は島生まれではないですが山村濃密な人間関係で育った友人たちはいますし、彼らの関係を思わせるような物語でした。

ストーリーは、主人公と友人の功、そして桜子の高校時代の同級生の半生をたどりつつ、それぞれの人間関係の変化を描くもの。38歳で帰郷する主人公が2人との出会いから帰郷までを回想し、最後に、ある事件を通じて、彼らも今とこれからを描く感じ。
このタイプの小説にしては、かなり凝った構成になっていて、間の回想も20年以上の時間経過をしっかり感じさせながら、うまく心情の変化をとらえている、というか、その辺はシンプルに素直にまとめている感じがしました。
間(あわい)というタイトルは、功と桜子の間、という主人公のポジションはもちろん、現在と過去の間、本土と島の間など、想像力を掻き立てられますね。

気になるのは、江波さんの文章。非常に正確で端正なんですが、頑固すぎるというか、構文にこだわりすぎている気配がしました。個人的には、作風的に、もう少し軽く柔らかい文章の方が合う気がする。文節の長さとか、明らかに素人じゃないレベルで整ってるんですけど、一方で、主語がすごく主張し過ぎるというか。文法的には正解なんですけど、もっと省いた方が滑らかになるんじゃないかなと思いました。
ホント好みなんですけど。
海外文学の和訳風にあえてしているのかもしれませんが、この作品は、軽い方が合うと思うんです。
そういう指摘があってなお上手いんですけど。
あとBBQもちょい軽いかなあ。



いや、1年の締めくくりにふさわしい作品でありました。
ラベル:純文学 KDP Kindle Amazon
posted by ヤマダマコト at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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