2017年01月30日

勝手にKDP本レビュー★45芥生夢子「四季」

この間、芥生夢子さんの「四季」を読了しました。前から読まなきゃと思ってたんですよね。前から「作風似てない?」とか言われたし、あと「このセルパブ」でも見かけたし。

内容的には、少女・四季と、彼女に関わる「僕」の物語。
ストーリーは、ここで書くのは野暮というか「読めよ」っていう感じ。ただ、もちろん純文学の系譜なんだけど、ストーリー自体、終盤は「ああ、こっち方面進むのね」っていうか。それまで透明でとんがってたものが、一気に手元に降りてくる感じがしました。読んだ人なら分かってくれると信じます。この表現。
なんていうか、もっと情緒的な方に行くのかと思ったら、こう、ね、なんかね。
この四季という子は、そのキャラクター性自体はそこまで目新しくない、というか、一時期、こういう子をいろんな創作で見ているんですけど、「さくり」というキャラクターとの出会いを経て以降は、より鮮明なキャラクターになって良い感じでした。
なんというか、「性と死」なんですよね。もしも、私と共通するとしたら、その一点だけじゃないかと。ただ、私よりずっと濃厚だしストレートで、もう匂ってくるくらい。
なんとなく、スピッツというか草野マサムネっぽい感じの世界観だと思いました。「死神の岬へ」とか「ナナへの気持ち」とか。

ストーリーはすごく上手い。さりげなく文章も綺麗。テンポが良すぎる感はあるけど面白かった。個人的には「じゃあふたりで、嘘を吐こう」の部分は、もうちょっとあざとく盛り上げても良かったかもしれなかった、っていうかエンタメ小説ならそうするんじゃないかと。嘘の時間をもっと増やすと、そのあとの展開がぐっと引き立つというか。ちょっと俗っぽいかもしれないけど。
あと、カットバックからストーリーから始まるんですね。それは普通にアリだし面白いと思う。ただ、2人の視点で回想と今を交互に繰り返す構成との食い合わせがあまり良くないというか、ちょっと戸惑いました。
その辺の時系列をもうちょい明確にできれば、導入がすっきりして、より隙のない作品になったと思います。



なんというか、この後ろめたさと美しさがぐちゃっとした感じは、すごくフェイバリットではあります。小説というか相当な数の文章を書いてる人ですよね。ある意味で晴海まどかさんとタメを張れそうな練達具合。恐れ入りました。
ラベル:Amazon KDP 純文学
posted by ヤマダマコト at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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