というわけで、折羽さんの「大四国戦線」読了。KDP原作開発プロジェクトのエントリー作品だったと思うんですが、ここまでがっつり長編を書いてくるとは。
とりあえず、方向性としてはいつもの折羽節というか、わかる人はわかると思うんですが、地の文章でぐんぐん押す系。弐杏さんもそんな感じですが、あちらは女子っぽいハイテンションですが、こっちはガチンコな感じ。江戸落語的な饒舌な語り口で小ネタはどんどん投げてくる。
ストーリーは四国内での主権争いというか、高知や徳島は置き去りで香川と愛媛、具体的には高松と松山が怪獣バトルを展開するもの。映像化するときにはCGより着ぐるみ希望っすわ。
要所要所では挿絵もあってお得!
いきなり巨大怪獣が出てきてドーン、ではなくて、そこに至るまでの両都市の確執やらシュールで予測不能な人間ドラマもあって、読み応えは十分。河童からご当地アイドルまでなんでもあり。キャラ名はややこしいんですが、覚えなくてもオッケー。ウンコ俳人とか適当に脳内で整理できるし。
ていうか映像化したらアカン人たちばっかり。尻子玉抜かれた男になりすました河童の市長とか訳分からない。いい意味で。
加えて個々のキャラクターのエピソードが全て繋がる時のうねり具合もいい感じ。折羽さんの長編は初めてですが、こういうダイナミックな物語のうねり作りも何気に上手い。長編だと、こういうものを書くのか、っていう。どうしても文体的に長編だとウルトラヘビーな部類になってしまうんですけど、年に1、2作読む分にはアリじゃないですかね。意外性もあって楽しいストーリーだと思います。
相変わらず、バイオレンス&ナンセンスな感じ。言葉にするのは難しいから、これは読むしかないわね。
あと割鞘さんの怪作「魔球投手」シリーズを思い出しました。こっちの方がギャグ成分高めで、ストーリーそのものは軽いんですが、なぜか手触りが似ている気が。
2017年04月21日
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