2017年07月21日

勝手にKDP本レビュー★50杉浦絵里衣「鳳凰はかく語りきー東華百貨店物語ー」

というわけで久しぶりのKDP本レビュー。新作だし、ちょうど先日も大正から昭和初期が舞台の物語を読んでたので、同じ時期がテーマというのも縁を感じたんですね。何より、面白そうだった。フラッパーガールシリーズで安心の「杉浦じるし」ですし。
さらに、そのうち、似たような感じで戦前から現代までの短編連作を書こうかな、とか思ってたので、これは読んでおこうと。しかも鳳凰じゃないですが、野鳥が主人公とかイメージしていたのも奇妙な縁だなーと思いました。
そういえば、ちょうどKDPレビュー50本目の節目。最初はなんだっけ、栗見さんの「テスタメント」だった思い出。

つーわけで、この「鳳凰はかく語りきー東華百貨店物語ー」です。うちの近所に東花食堂というえらく不味い飯屋があるのは置いといて、大阪の架空のデパートの創業から現代までを、そのシンボルたる七宝の鳳凰像を中心に、その時代の人物のエピソードを繋ぎ合わせていく物語です。表紙のポップ感とは裏腹にテーマは硬派な感じ。とはいえ、ボリュームはかなり軽めですし、杉浦さんらしい軽やかな文章や描写、テンポの良さでとても読みやすくて面白い。
時間軸を使った人と店の関わりという意味で、戦前のあの人が戦後はああなってた、みたいな展開もありつつ、しっとり楽しめました。人生の悲喜こもごもというか、基本的にすごくハッピーなエピソードばっかりなのが個人的には好きです。
私も嫁さんの実家がそっち方面なんで、あの辺ので雰囲気は分かっているので、すごく身近に感じられた不思議な物語でした。

ただ、テンポが良い反面、少し筆が走り過ぎというか、もっと個々のエピソードの尺をとっても良かったと思うんです。描写もそうだし、むしろ「ウザい」くらいでも良かったかなあ、と。その方が、より劇中の時間の流れが濃くなるし、登場人物に感情移入しやすくなる予感。というか「変わらない鳳凰」と「変わりゆく風景や人物」の対比がキモだと思うんで、そこまで書ききれば凄みが出てきそうな気がする。



あと、関西弁成分は欲しかった。鳳凰視点固定で、すべて関西弁語りとかだったら、それも凄い作品になりそう。ベタベタですけど。
ただ、杉浦さんの作品の中では、ものすごく冷静なとこが面白かった。歪みないほど自分のフェイバリットに一直線なイメージがあったので、こういう物語も作れちゃう懐の深さに感服。
ラベル:大阪 Kindle KDP
posted by ヤマダマコト at 10:56| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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