2018年01月26日

勝手にKDP本レビュー★55「デイトリッパー」葛城真実

年明けも色々KDP本を読んでたんだけど、その中で印象深かったのが葛城真実さんの「デイトリッパー」。
そもそも、いつの間にかダウンロードされていたんですよね。結構、前に無料キャンペーンとかでゴチられたのかしらとか、まあ、そんな感じな気がする。

どんな本かもわからず読んだわけですが、良質な近未来SF的な短編でとても面白かったっす。
有害な紫外線なんかが降り注ぎまくって荒廃した近未来を舞台に、16才の女性ライダー・アンが事件に巻き込まれる話。
ストーリーそのものはシンプルだし、世界観もざっくり見ると突飛なものでもないんですが、ディテールが凄く良いんですよね。
「ネヴァダイ」という地名とかドラッグとかサイバーな娼館「ドールハウス」とか。
それ以上にアンというキャラクターがすごく魅力的で、セクシーかつフリーダムに風の中で生きている感じがすごくカッコいい。バイク乗り良いよね、バイク乗り。
というかアンの濡れ場らしきものもあるんですが、全然、そういう気持ちにもならない、っていうか意図的に淡々とさせてる感じがすごくドライでカッコいいっす。でもマニアにはたまんないのかもしれない。私の大学時代の友人にも、冬季オリンピックの女子スピードスケートだけ全部録画して何かに使っている男がいるし。
それはそうとして、全体の雰囲気がとにかくクール&ドライなんすよ。短編だし、別に文章が特別スタイリッシュなわけでもないのに。なんでだろ、と分析したんですが、おそらく会話文だったり、あるいは場面展開だったり、その辺がうまく決まってるんだろうな、と。
ていうか場面の切り替えが上手いんですよね。これ、すごく短い小説なのに全然窮屈じゃなくて奥行きが感じられるんです。



にしても後半の展開はちょっとびっくりした。もっとアナーキーな感じかと思ったら割と「そっち来る?」みたいな。
個人的には、もっとこの世界観に浸っていたかったですね。確かにしっかり奥行きは感じられるんですが、もっともっと長くても良いと思うし、アンはじめ各キャラクターを掘り下げつつ、もっとややこしい物語でも良かったと思うんです。それに耐えうるだけの力強さはあると思うし。終盤のスケールの大きな展開も、長編の方が映えるような気がしないでもない。
posted by ヤマダマコト at 22:51| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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