2019年11月02日

映画「IT THE END 」の感想


公開初日に観てきました。IT大人編こと「IT THE END」。
ちょうど仕事の後に時間があって繁華街の方まで足を伸ばしたんですよ。都合の良い時間が他のシネコンでなかったので。そしたら、割引きのせいもあってか制服姿の高校生がいっぱいいたのが印象的でした。R15なのに。
ちなみに前作の時は、平日休みの昼でほとんど人がいなかったんですよね。映画の後、「魚(いよ)」用の表紙素材を探しに出かけた記憶がある。



とりあえず、結論としてはとても面白い映画だったと思います。サービス精神旺盛で、キング御大本人がノリノリでシルヴァー売ってるし、とにかく随所に原作リスペクトが感じられる一方で、色んな事情で映像化不可能な部分は手堅くアレンジしたな、と思います。相変わらずホラー部分の大半はB級だし、それ単体ではあんまり良いとは思わない。
けれど、「IT」にとってそこは重要じゃないことをよくスタッフが理解した上で、さまざまな要素が詰め込まれた原作の一部分である「B級ホラーのオンパレード」を意識的にぶち込んでるのが明確なので、それさえもオッケーだと感じられます。ミラーハウスとかベタベタやん、みたいな。
なんつーか、今回の映画化で「ホラーとして微妙」「あんまり怖くない」という批評をよく耳にしますが、それは野暮だと思うんですよ。あいつは子どもたちを怖がらせる怪物なんだから、大人目線では滑稽でなければいけないしこれはベターだと思うんです。だったらマイルドにして全年齢にした方が興行的に良いんじゃないかと思わなくもないけど。でも、物語の性質上ホラーでなければいけないのがもどかしいところ。
ただ、本質的にITの物語はホラーシーンカットしてもその魅力は十分伝わるので、怖い人は見たくないシーンは目を背けてても全然オッケーだと思う。

ストーリーは前作が少年編だけでまとめたんですが、今回は大人編といえど4割くらいは少年時代の回想が入る感じでざっくりと原作っぽい。おかげで3時間近い映画だけどあんまりダレなかったです。2つの時代の場面転換も上手く、分かりやすくて退屈させない。
その中で、原作ラストの神話的な善と悪の対立というかキリスト教幻魔大戦的なアレを映像的にどうするかが気になったのですが、「死の光」とかちゃんと表現しつつ、同じく原作再現の難しかった「チュードの儀式」のディテールをうまく使って手堅くまとめてきたなと思いました。
ただ、このラストで感じたのが「前作のヒットでゴーサインが出てから脚本書き始めたのかな」っていう印象。あれだけ前作で原作のキーとなる「亀」のモチーフを出しまくって、おそらく事前に収録したであろう今回の少年時代の回想でも、ベンのシーンで亀の剥製まで登場させておいて、その伏線を投げっぱなしだったんですよ。これって、最後の対決がなかなか決まらなかったせいかな、と思った。深読みしすぎで、実は単なる原作ファンへのサービスなのかもしれないけれど。
まあ、あれです。ちょっとスケールダウンは否めないけど、ラストに限っては、前作のパチンコから金属バットへのギャップほどの違和感はなかったです。
なんというか、セルフパロディっぽかったですね。90年のドラマ版や今回の映画版での過剰なピエロ推しに対するスタッフ自らの贖罪というか自虐というか。ITはピエロ怪人じゃないですしね、本来は。1人のファンとしても過剰にピエロがアイコンになってることに違和感があるんですよね。
そういう意味であの対決は感慨深かった。



むしろ、「IT=デリーの街そのもの」感が薄れたのが残念だったな、と。前作からそうだったので分かってはいましたが、原作は開拓時代からのデリーの歴史の暗部としてITが存在していて、保守的なアメリカ南部の田舎町とITの餌場として存在する人間のコロニーを重ねた気持ち悪さが重要で、「ITの死=街の崩壊」なんですが、そこが弱いんですよね。その部分は現代を舞台にした場合に時世に合ってないから仕方ない部分もあるんでしょうけど。

逆に映画ならではの良かった部分といえばはみ出しクラブの面々のスポットの当て方。ちゃんと原作の不遇メンバーにも見せ場があって良かった。がっつりとストーリーに絡んでくる感じで、それが情緒的な結末に繋がるという。ネタバレだから言えないけど、「そうきたか」って思った。
代わりにベヴァリーの旦那やビルの奥さんのデリー入りをばっさり切ったのは正解で、その分、存在感が増した大人ヘンリーは無茶苦茶いい味出してました。なんかビジュアルが原作のパトリックっぽいダウナー系狂人でセンスが良かった。
そうそう、その結末が原作と真逆なのも面白かった。キングがテーマにしたのは「大人になっていくこと」の成就だったわけですが今回はその表現方法が少し違うんですよ。
それぞれ大人になっても、結局、トラウマだったはずの父親や母親似の人と結婚したり、弟の死に縛られたりしていた彼らがちゃんと大人になるのは一緒。だけど、そのプロセスや大人へのなり方が少し違う。
でも、ちゃんと「これもITだ」と言えるんじゃないかと思う。



総じて本当に良かったし、前作が気に入った人は観るべきじゃないかと思う。ちゃんと前作で触れられなかった少年時代のエピソードも山盛りだし、とても感慨深いはず。ただ、本作から入るのは少しきつい気はします。
ラベル:レビュー 雑談
posted by ヤマダマコト at 13:30| Comment(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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