2017年12月25日

ヤマダ氏スターウォーズ「最後のジェダイ」を観る

というわけで観てきました。例のEP8こと「スターウォーズ 最後のジェダイ」。
結論としては面白かったです。シリーズ通しても出来は良いと思うし、映画としてはともかく、歴代シリーズの中では完成度は高かったんじゃないかと。ここから観るのはちょっとしんどい気もしないでもないですけどね。
あと、すごくディズニー風味が出てきました。玩具展開やスピンアウト前提っぽいキャラがちょいちょいいたり、アニメ的なネタが結構入ってたり。そこは苦手な人がいるかもだし「やっぱりこうなるんか」って思う人もいるかもしれないけれど、私は良いと思う。だって映画館のおっさん率高いんだもの。ちゃんと次の世代のファンも意識しないとだし、これもアリだなと。ディズニー風味が不思議とマッチしてると思います。
ちょっとストーリーが雑で荒っぽいのはご愛嬌というか、そこは昔からそうなんで大目に見ないと。

ヒロインのレイも相変わらず安定してるし、実際、すごくスターウォーズの主役っぽい子だから全然心配してない。この間の金曜ロードショーで気付いたんだけど、実は吹き替えの人が良い仕事している気がする。
あと、若くなくなった「若きスカイウォーカー」こと俺らのヒーロー、ルーク・スカイウォーカーは、前作ラストの不安なビジュアルから一転、あのルークがそのまんまジジイになった感じがすごく良い。彼はオビワンでもヨーダでもないのよ。親父譲りですごく人間臭い人で、その辺はもうイメージ通りのルーク。脚本も見事だけど、マーク・ハミルも立派。チューイやR2-D2と話す姿がすごく好き。終盤のアレも、ヒーローはこうでなきゃ、的なね。
他のキャラもいい感じで、ダメロンもフィンも活躍してる。今シリーズは敵味方ともに群像劇風味なんだけど、うまくキャラを立てていると思いました。
あのダメダメだったカイロ・レンさんもそれなりに軌道修正できてる感じ。
全体を通じて、前作の伏線を次々にあさっての方向に蹴り飛ばしていく乱暴な方向性なんだけど、それが不思議とうまくハマって、ちゃんと良い方向に向いてるんだよね、なんというか。

一方で、今までのお約束をいくつかぶっ壊したのはびっくりしました。代々重用してきたフォースとジェダイとスカイウォーカーの扱いとかね。あのヨーダのセリフは、頭の固いファンに対するメッセージに聞こえたし、ルークへのアドバイスは育児の助言みたいに聞こえますし。
そういったとこもそうだし、ディズニー要素も含めて全体的にチャカチャカした印象は確かにあるけど、むしろそこが良いと思う。
このシリーズは今まで硬直し過ぎてたと思うんです、絶対。特にEP1からEP3までの3作で先鋭化し過ぎていて、前作のEP7も、結局、新世代を謳いながらも旧作の型にこだわり過ぎていたし。その中で今作については、個人的には、既存ファンに多少おもねりつつ方向転換した画期的な作品だと思います。
その意味で面白かったし、今後のジェダイの扱いも興味深いところ。なんというか、今までのシリーズでは考えられないラストに少々の困惑はあるけれど。

次はだいぶ身軽になっただろうから、スターウォーズらしさはほどほどに、映画としての完成度を高めてほしいです。大丈夫。あの世界はもっと変なものを受け入れる強さは持ってる。新しいものを受け入れられないファンを切り捨てるくらいの気持ちでいいのかなあ、と。
posted by ヤマダマコト at 22:46| 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月07日

映画のITを観てきた話

実は映画も結構な本数を年間に観るし、映画館に行く頻度も普通よりは高いと思うんですが、よほどのことがない限りは触れたりしないんですよね。

とはいえ、今回の「IT/それが見えたら、終わり。」は別格。
何と言っても、あの「IT」の映画化ですからね。スティーヴン・キングの代表作の一つであり、最高傑作の有力候補でもある大作ホラー小説。文庫でも分厚いのが4冊で、日本語訳の原稿用紙換算で気が遠くなりそうな圧倒的なボリュームで、傑作なのにキング初心者にはオススメしにくいあの「IT」ですよ。まさに電子書籍にうってつけのタイトルと言えなくもないですけど。
日本語版は私が中学生の時にハードカバーが出た記憶がある。英語習いたてのころ。実際に読んだのはもっと後で文庫でした。

アメリカ南部の架空の町、デリーを舞台に子どもたちが30年周期で現れる怪物ペニーワイズと対決する物語で、1960年ころの少年期の対決と、ペニーワイズが復活する1990ころの壮年期のふたつの時間軸で進むわけです。
普段から学校の最下層カーストにいるいじめられっ子で、それぞれ吃音や肥満、家庭内暴力などに悩む「はみ出しクラブ」の子たちが、たまたまデリーの歴史に30年周期で現れるヤツ(IT)の存在に気付き、立ち向かうのが少年期の物語。一方、ヤツの復活を知ったはみ出しクラブの面々が、それぞれ大人になってからデリーに再結集し、再び立ち向かうのが壮年期。
壮年期の方は今回は触れられていませんが、ハゲ散らかしてたり旦那のDVに悩まされてたり、同窓会的でそれはそれで面白い。アイツはイケメンで大成功な人生を送ってたりね。
原作では、それぞれの時間軸を、それぞれのメンバーの視点で描いていき、1960年に何があったのか、そして大人になってすべき事とは、を明らかにしていきます。
このペニーワイズこそ、お馴染みのピエロなんです。あまりにもピエロで有名ですが、その本質は「無貌の怪物」。見る人間によって姿を変えて襲ってきます。
このピエロの元ネタは70年代にアメリカを恐怖に陥れた連続殺人犯のジョン・ゲイシー。ピエロの姿になることが多く「殺人ピエロ」と呼ばれたヤバいシリアルキラーなんですよ。要するに、キングが作品を発表した当時のアメリカ人がもっとも恐れた姿という、ちょっとメタフィクション的な演出だったりするのです。
で、このペニーワイズは、子どもたちが1番見たくない姿で襲ってくるわけです。ピエロはもちろん、オカルト雑誌で見たオオカミ男から当時アメリカに輸出されていたと思しき東宝の怪獣「ラドン」まで様々。あとジョーズにもなります。もう、ホラーの百貨店状態。なんでもあり。ペニーワイズというのは、子どもが大好物で、特に子どもの恐怖心が好きななんですね。
そうした人の潜在的な恐怖心に訴える描写に加え、当時のアメリカの学校や家族関係を鋭くえぐる描写だったり「はみ出しクラブ」の面々のジュブナイル的成長物語だったり。さらに、「もっとも恐ろしい恐怖とそれに立ち向かう方法」と「子どもと大人の境界線」だったり、様々な要素を盛り込みながらめちゃくちゃ面白いストーリーにまとめた作品で、個人的にはアメリカ文学の金字塔であると言っても過言ではないと勝手に信じてます。

ちなみに映像化は2回目で、90年代に連続ドラマになり、私はNHKで見た覚えがあります。「スティーヴン・キングのIT」みたいなタイトルでした。こっちの方が有名ですが、原作信者としては、あまり、というか思い出したくないというか、忘れたい出来だったんですね。そこまで酷くないけど、ITを単なるチープなホラーにしちゃっただけというかB級臭いというか。
で、今回の映画は、この長大な原作を、少年期の第1部と壮年期の第2部に分け、今回、レビューするのは第1部ということになります。

結論から言うと、非常に良かったと思います。
ホラーとして見た場合には、原作はもちろん、あのドラマ版にも劣る部分があるのは否定しません。「相手の怖がる姿で出てくる」という設定を生かした錯覚や悪夢のような不条理なペニーワイズは影を潜め、とにかくピエロの力押し。ひたすらピエロ、みたいな感じです。こう「デリーの歴史の裏に潜む魔物」というより人食い怪人のイメージが強くなっちゃった。不気味さが消えた分、血が吹き出たり腕がちぎれたりのグロ描写と、びっくりどっきり系の演出で推していく感じ。力押しのホラーですよね。好きな人は好きかもですが、ペニーワイズっぽくないしB級臭い。
この部分をもうちょっと工夫できれば良かったとは思う。リトルグレイとかモスマンとかね。いや、そんなん出ても困るけど。

けれど、それを補って余りあるのがジュブナイルストーリーとしての完成度。はみ出しクラブ(ルーザーズクラブ)の面々の描写は見事で、ドラマ版がこの部分を切ってホラー押しで失敗したのに対して、こっちは丁寧な描写や演出、さらに魅力的なキャストで素晴らしいものに仕上げているなと。説明はなくとも状況や感情が痛いほど伝わるシナリオ、キャスト、カメラワークのどれもが良いっす。ベヴァリー可愛いし、ベンも可愛い。
この部分だけでも、キング原作の「スタンド・バイ・ミー」に勝るとも劣らないクオリティーだと思う。ドラマでカットされたアレやこれも入ってるし。
この映画で、今更ながらに「IT」は、ホラー要素の改変ごときで色褪せるものではないと気づかされました。これは紛れもなく「IT」だと思います。
ドラマ版ファンから見たら、「怖くない」という声が上がるかもしれないけど、原作ファンとしては、こっちの方が絶対に上。それは絶対の絶対。

ホラー以外に欠点がないわけじゃないんですよ。今回は88年が少年期の舞台で、音楽も当時のアメリカのナンバーなんですが、石合戦の曲がなんとも合ってなかったり、ラストのアレはちょっと可哀想じゃないか、とか。
でも石合戦はドラマでは扱いそのものがおかしかったし、どれも些細な点だし。

んで、続編というか壮年期は2019年9月公開だそうですが、そっちの出来次第ですよね。ドラマ版も少年期はそこまで悪くなかったわけだし。とりあえず、当時と違ってCGもあるし、クモの悲劇は回避できそうですが、懸念もあります。
一つは、今回の少年期で気になったペニーワイズ退治の改変。原作では「子どもの想像力で退治できる」だったと思うんですよ。だから銀玉鉄砲でしたが、今回はベヴァリーの台詞で分かるように少し変わってる。結果的に退治の方法もアレだったんですが、これって壮年期の意味合いが全然変わっちゃうんじゃないかと。
あとは、ドラマ版で当たり前のようにカットされた、あの記憶の彼方に消えたイニシエーション的なアレですよね。色々物議を醸し、特に女性ファンが批判的なアレですが、個人的には必要だと思ってます。
ペニーワイズの仕掛けた1番の恐怖に立ち向かう行為であり、少年期の終わりでもあって、あのイニシエーションこそが、「IT」を単なるホラーで終わらせない部分だと思うんですよ。
今のご時世からして、レーティングしても難しい気もするんですけど、今回の流れだと、ちゃんとやってくれそうな気もするんですよ。だってラストのアレはアレってことでしょ?



そんなこんなで映画は見にいくべきだし、kindle版も出ているので、読もうぜ。
posted by ヤマダマコト at 17:05| Comment(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月03日

ヤマダ氏、今更ローグ・ワン観てくる

まさかの300本目の記事投稿。立ち上げからおよそ2年。今後もちまちま更新してまいりますのでよろしくお願いします。

正月休みということで、「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー」を観に行って来ました。
何度か言ってるけど、やっぱりスターウォーズって特別なんですよね。別に映画として優れているわけでもなく、ストーリーはご都合主義で、SFとしてもしょっぱい。でも嫌いになれない不思議なシリーズ。水戸黄門が好きだった死んだじいちゃんもこんな気持ちだったのかな、とか考えてしまう。なんだかんだ好きなんですよね。
とはいえ、年末にスピンオフとか、この間EP7出したばっかで、こんなに連発して大丈夫なんか、っていう心配もしてたんですが、杞憂でした。

ストーリーは公式サイトあたりみればわかりますが、要するに反乱軍で汚れ仕事ばっかやってきた人や帝国から寝返った人とか、訳ありのメンバーで構成された部隊が、デススターの設計図を盗み出すハードミッションに挑む物語。
EP4で「なんでデススターこんな弱点ガバガバやねん」と誰もが思うツッコミに対するアンサーというか、その部分を補完しつつEP4直前に繋げる構成で、全体を通してみると、非常に良くできたスピンオフだと思いました。
シリーズに詳しくない人でも人間ドラマとキャラで、単体作品として面白いし、続きのEP4が気になる。ファンからしてみれば、ちゃんと世界観を正しい方向で広げてくれて感謝しかないし、絵ヅラは半端なくカッコいい。帝国占領下のジェダ上空を帝国のシャトルが行き来する絵とか、スカリフ上空の空中戦とか。ライトセーバーなくても、ちゃんと格闘戦やってくれるし。むしろ、ジェダイ不在な分、終盤のベイダー無双が際立つ。やっぱりフォースの力は半端ねえわ。

主要キャラクターもジン、キャシアン、チアルート、K-2SOとかみんな個性的で面白い。特に少林寺座頭市的なチアルートが目立つ。アジアンでジェダイばりのアクションがカッコ良かった。ダサいボウガン使わなくていいから、カンフーもっとかまして欲しかった。ジンもそう。あのトンファーっぽいのカッコいい。この2人ならグリーバス将軍が相手くらいならタイマンはれそうな戦闘力に見える。
というか部隊の物語ではあるけれど、核はジンのストーリーで、そこもスターウォーズにしては頑張った。ネタバレになるから言えませんが、良かったと思います。スターウォーズらしいし。ああいう展開が続くなら、もっと感情がぶれても良さそうではあるんだけれど。

ツッコミどころも見所も満載で語りつくせないんだけれど、映画単体として気になったのは導入部分でしょうか。ジンの子ども時代からキャシアン登場に繋がって、ボーディーが出てきたりして、その過程でキャシアンのダーティーな一やジンの育ての親的な反帝国の戦士ソウ・ゲレラの現在を表現していくわけですが、その辺の描写が不足している感じがしました。ソウなんて、感情移入する前に退場しちゃった感もあるし。あと、ジンが反乱軍に行ってスカリフに向かうまでも唐突な感じがする。あと20分くらい尺があれば。
加えて、スピンオフだからだと思いますが、割とこじんまり完成させちゃった感は否定できないところ。EP7を見たあとだと、やっぱりロマン分が足りないよなぁ。その分、凝縮されてるし完成度は高いし、これはこれでいいのかな。
この物語があるからこそ、そのあとのルークとベイダーの神話性が際立つというか、ガンダムだって、一般兵やヤラレ役がいて重厚な設定があるからこそアムロやシャアが際立つわけで。スターウォーズの世界に奥行きと深みを与えるフォンドボー的な役割を見事に果たしたんじゃないかと。

なんにせよ、ファンなら観ても損はないし、EP7で挫折したシリーズ初見さん向きだとは思います。
posted by ヤマダマコト at 14:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする