2019年09月01日

話題のBOOK PORTについて諸々

なんとなく、最近、インディーズ文学で話題の「BOOK PORT」について。
この手の時事ネタなんてらしくねえな、と思われるかもですが、先日、Vtuberのバーチャル美少女ねむさんのKDPの戦略とか見ていて、やっぱりあの行動力というか、適切なマーケティングに基づく合理的なフットワークを目の当たりにして、少しずつでも近づいていきたいなと思ったんですよ。別に美少女に近づくわけではないっすけどね。尿酸値高めだし。
ということで、ツイッターで起業したオタクペンギンさんこと近藤氏にDMでいくつか質問した上で自分なりの感想をまとめてみようと思いました。
※あくまでKDPユーザーの視点なのであしからず。

その前に概要から。
「BOOK PORT」は、現在、立ち上げ準備のためのクラウドファンディングが進められている小説販売プラットフォームだそうです。ていうか、投稿サイトなのかもしれない。そこら辺は不透明な模様です。
とりあえず、このクラウドファンディングのページを参照のこと。

https://camp-fire.jp/projects/view/190315

印税率という言葉が出てくる以上、電子書籍の販売を主体に考えている模様です。
で、インパクトがあるのは印税率の87%ですよね。KDPで独占契約結でも「定価250円以上限定」でようやく70%と考えれば、とても魅力的です。
また、独特なのは、「書き手目線」を意識していること。読み手と書き手のマッチングに力を入れたいようです。というか、普段から角○やらハ○カワの公式セールに殺されかけたり、商業やら同業者と血で血を洗う死闘を繰り広げている「売れたもん勝ち」のKDPユーザー的には新鮮だなと思うんですよね。
どうも「小説で食える環境づくり」が第一義な模様で、多分、ビジョンとしてはKDPのように「競争に勝ったひと握りの作家が」という枕詞は付かないんでしょうね。
結構、賛同者が多そうだなと思うし、今もいわゆる「小説家になろう」が人たちが熱い支持を寄せている模様です。カクヨムについては、秋から収益化に対応するそうだから、ユーザーはそっちとの比較になるのかもしれない。
ていうか、目標の200万円にあっさり届いたのも凄い。みんなの期待の高さがうかがえます。

ポイントとしては、プロアマ問わず個人で作品発表するインディーズのためのストア(あるいはサイト)になるということ。
現状、最大手のKindleストアはあくまで商業出版がメインであり、そのせいで競合がめちゃくちゃ手強いというか、カスタマーレビューで宮部みゆきと比較されて叩かれたりする諸行無常なんですが、一方で主力が商業だからこそ圧倒的なユーザー数があり、プロモーションで対抗したり、商業との差別化に成功すると収益化できるんですよね。
一方、BOOK PORTはプロだろうがアマだろうが個人作家のみ。競合はないけど、市場がどの程度広がるかが成功の分かれ目なのかな、と思います。
奇しくも角川のBOOKWALKERが同じで「インディーズ」を分けている。あっちがカクヨムからの流入に力を入れているのもあり、「なろう」系に関心の高いBOOK PORTはちょっと似ている気がする。どっちもラノベ系が強そうだし。

んで、ここからはちょっと近藤氏との質疑応答抜粋。


Q. サイト形式なのか、電子書籍の販売ストアなのか。だとしたらフォーマットは何を考えているのですか?

A. そちらまだ結論が出ていないんです。
エンジニアから言われているのはセキュリティを取るのか利便性を取るのかで変わるという話です。ブラウザであれば、例えば刊行された後に誤字脱字を直すことはできます。ダウンロードだと再度ダウンロードし直してもらう必要がでてきます。僕としてはセキュリティは前提に、最も利便性が高い方法を採用したいと思ってはいます。なので今、エンジニアの方に他の方法はないかを探して検討してもらっているみたいな状態になっています。

Q. 1冊あたりの単価はどのくらいを想定していて、最低価格はいくらにするつもりでしょうか?
インディーズ系電子書籍ストアは、作者による最低価格による競争になりがちですが、BPの印税率や消費税を考えると100円程度での販売は難しいように見えます。

A. 1冊の単価ですね。推定平均はおそらく350〜500の間で推移するだろうと思っています。【1冊あたりの文量にもよりますが】
最低価格についてはちょっと悩んでいまして、今後海外でもBP内の本を翻訳したものを売れるように広げるつもりなので、100円(1ドル)とかにしておかないと手続き上面倒なことになるんですが、例えば不定期のイベントなどの時に作品10円セール!とかはやりたいと考えています。
またユーザーからの反応を見て、変わってくる可能性も全然あります。

Q. 著作権の関係は作者にすべて帰属させるようですが、これは他サイトや他ストアで同じものを多販路で流通させても問題ないということでしょうか?

A. そういうことです。
極端な話、例えばBPで販売している本を他の出版社に持っていって書籍化したり出版社主催のコンテストに応募することもできます。

Q. あと、Kindleストアで商業本を買いに来る人たちではなく、「なろう」のいわゆる「読み専」の人たちをターゲットにしているように見えますが、その認識で合っていますか?

A. ちょっと違いますね。
今回のターゲットは「面白い小説が読めるならお金を払うという文化を持っている人」です。
なのでKindleなどで商業本を買いに来る人たちはがっつりターゲットになります。で、僕もそうですが「なろう」を利用しているユーザーは2種類いると考えていて、「無料だから読んでいる」層と「面白い小説を探していたらなろうにもあるから読んでいる」層です。僕自身はこれの後者で、商業本も買いますし、なろうも面白いものならかなり読んでます。
ここの層が今回のターゲットですね。

Q. なるほど。イメージとしては、ご存知かわかりませんが角川のBOOKWALKERインディーズに近いのかなと。
多販路の件もそうですが、他サービスとの差別化が勝負になると思います。「なろう」で同じものが無料で読める中で有料で販売する以上、ユーザーに対しての付加価値が必要だと思いますが、何か考えていますか?

A. 差別化というと「作家」にとっての差別化と「読者」にとっての差別化があるんですよね。
「作家」が求めているのは「どれだけ売れるのか」ですし、読者が求めるのは「他にはない作品に出会えるかどうか」です。この二つをユーザーが実感できれば自ずと勝利につながるとかんがえてますよ。


とのことです。
ここら辺のニュアンスをどう捉えるかは人それぞれだと思います。私個人としては、やっぱり「インディーズにお金を払ってもいい」という人がどれだけいるかだと思うんです。KDPだって、読み放題導入前は、無料キャンペーンするたびに「有料の壁」を感じたわけで、そこをどう乗り越えられるか。そんな感じなのかなあ、と。
とはいえ選択肢が増えるのはいいこと。Amazonとそれ以外の販路の収入が5:5くらいになるのが理想なんですよね。
競争が激しい分野ですが、ちゃんと軌道に乗ってもらえればと思います。
posted by ヤマダマコト at 18:32| Comment(0) | その他エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月28日

ヤマダ氏「ファイアーエムブレム風花雪月」を買う

ヤマダがファイアーエムブレム風花雪月を買うために最寄りのゲームショップに立ち寄ったのは、発売日の翌日、正午過ぎだった。
前日は痛恨の残業がぶっ込まれ、店の営業時間に間に合わず断念した憐れなオッさんは、「開店直後に店に突入するのは大人の余裕がないのでダサい」というくだらない見栄のために、わざわざこの時間をチョイスしたのである。
また、心に余裕もあった。数年前の「if」の反省から5月のうちに限定版を予約。財布の中に予約票を常備していたのである。発売日に有給休暇を取得しダウンロード版を購入し浮かれるフォロワーのツイートを穏やかな心境で眺められたのも、その余裕ゆえだったのかもしれない。

そもそも、なぜ限定版なのか。
それは、このヤマダという男が相変わらず無頓着で、発売日以外の情報をろくに知らないままゲームショップに行き、店員の説明を聞き流し、いつもの「いっちゃん良いヤツくれや」のメンタリティを発揮したためである。ぶっちゃけ「普通ので良かった」と予約後に少し後悔もしたが、割とどうでも良かった。
だいたい限定版といえばクリアファイルだの微妙なサウンドトラックだのが付いてくるのだが、そういうのは、どちらかと言えば欲しいものでもない。さすがに40歳になろうかというおっさんが持つべきではないだろう。例えばPTAの役員会で、予算書をしまうクリアファイルがファイアーエムブレムだった日には、そのテのものに理解のない保護者の皆さまに白い目で見られかねない。とはいえ、不要なら長男にプレゼントすればいいものでもあるし、まあ、任天堂さんへのご祝儀だと思えば良いと考えていた。



今年は改元もあり5月の10連休の影響で新潟県内の多くの小中学校は夏休みが短めなのだが、それでもさすがに7月27日ともなれば大半の学校が休みに入っており、ゲームショップは家族連れやカードゲームに興じる男子中学生らで賑わっていた。
特に目を引いたのが6年生くらいの男児3人連れ。果汁グミを袋から直食いしつつ、「今度のポケモンすげえぞ」など騒いでいる。少子高齢化が進む昨今、日本の未来を担う彼らだが、今はただただ鬱陶しい。
「お前ら、ゲームなんて遊んでないで外で遊べ」と自分のことを棚に上げ、心の中で文句を言いつつ、ヤマダはレジに一目散に向かう。
店員は六角精児風の同世代のおっさん。正社員かバイトなのか分からないが、ひとまず安心する。そして、「そうだよ! 俺たちが支えてるんだよ、この国をさ!」というなんだかよくわからないシンパシーを感じつつ、予約票を渡す。
この六角精児で良かったとヤマダは心から思う。これがイケメンだったら、勢いで「子どもに頼まれたんで」と言いながらカモフラージュ用にマリオメーカー2まで買ってしまいそうだったからだ。それは28年前、近所のデイリーストアでファミコン通信をカモフラージュにデラべっぴんを購入した思春期の頃に重なる。でも大丈夫。この六角精児は分かってくれる。彼は信じられる。
そして、ヤマダのインスピレーションは間違っていなかった。彼はカウンターの下から「ファイアーエムブレムの限定版ですね」と微笑みつつ商品を出してきた。
しかし彼が両手で抱えてきたのは、そう、ゲームソフトとは思えない、30年前の1/100ゼータガンダムのプラモボックス並みの巨大な代物だった。

「マジか」
「やべえ、ありえね」
その時、ヤマダの心を代弁するかのように背後から声がした。
振り返ると、そこにいたのはさっきの男児3人連れであった。そのクチャクチャ動く口の中には明治果汁グミが見えた。
ラベル:FE ゲーム 日記
posted by ヤマダマコト at 19:42| Comment(0) | その他エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月25日

ヤマダ氏、「ピンポンTHE ANIMATION 」を観る

というわけで夜な夜な「ピンポンTHE ANIMATION」を鑑賞しておりました。
執筆のあとの息抜きを兼ねて。
ピンポンといえば原作コミックは好きですし実写映画も最低限のクオリティは維持できていて、悪くない感じだったんですよね。もちろん、アニメ化したことも聞いていたんですが、あんまりアニメって見ないので、スルーしてました。
今回、うちの長男と卓球で遊ぼうという話になった時に、何か予習させたいなと思ってチェックしてみた感じです。

いやー、これは凄かったですね。なぜ今ピンポン?みたいな疑問もあったんですが、これは納得せざるをえない出来。
まずは絵っすわ。子どもには微妙に見えたらしいですが、個人的には最高。というかコミックまんまやんけという。動くべきところはちゃんと動かすしマンガ風にコマを流すのも面白い。ところどころに低予算を感じさせる微妙な部分もありますが、肝心のゲームを中心に卓球らしさがよく出来ている感じ。オープニングも前半はアレですが後半は凄みを感じるクオリティ。

そして、それ以上に凄いのがシナリオ周辺。
とにかく原作の補完と掘り下げが凄まじいっすわ。
もともとピンポンって松本大洋特有のノリ重視なおかげで、ちょいちょい説明不足であってもテンポや勢いで突っ走る部分が多くて、そこが疾走感を生んでたんですが、今回は地に足のついたスポ根群像劇として完成されていていい感じ。
原作はペコとスマイルの話、映画は尺の関係でよりペコ中心。だけど、今回はドラゴンとチャイナのエピソードを多数追加。オリキャラを出して掘り下げるという試みがなされています。
これが大成功。原作では、個々に読者の想像に委ねていた部分が少なからずあったんですが、そこを原作ファンでも納得するような補完をしているのがスゲーっす。
特にチャイナ関係は中国の卓球をよく勉強しているし、来日後の辻堂の部員らとの交流や母のエピソードを絡めることで、この部分だけで山田洋次監督作品っぽい奥行きがあるほど。
ドラゴン周りは原作でもかなり描写が少なかったんですが、そのあたりも「これでもか」というほど補強してあります。家族や親戚関係、チームメイトとか。
ペコとスマイルの関係も、あえて台詞で説明させたりして原作のバランスを維持しつつ、分かりやすく補完できている。
おかげで全体を通して、すごく感情移入しやすくドラマティックに仕上がってます。
キャプテン太田も電気屋エピソードを加えることでスマイルとの関わりに整合性が取れた感じがするし。
逆にちょい説明し過ぎで興醒めする部分もありました。ドラゴン戦前のペコの台詞とか。
でも、それを差し引いても、十分プラスというか、むしろ初見の人に優しいだろうなと思います。

あと現代向けのアレンジが徹底してたのも興味深いっす。スマホとかSNSとかの演出もそうだし、卓球についてもそう。
原作の時点でペンホルダーの裏面打法は割とポピュラーだったりしたんですが、今回はペコについてはかなりアレンジしてきました。チキータ・ミユータは蛇足だと思いましたが、反転ペンは古くて新しい感じがして面白かった。
日本式の反転グリップは昔からあるんですよね。異質攻守型の選手が使うラケットとして。
女子選手に多いイメージです。片面に摩擦係数の極端に低いアンチラバーを張ったり、粒高張ったりして、ショートや台上でコツコツとミスを待つ感じ。男子ではほとんどいなくて、私の現役の頃は中学の大会でたまに見るくらい。そういえば拙作「テーブルの上のスカイラーク」に出てくる仏具屋のおっちゃんがこの戦型だった思い出。まあ、要するに「おもちゃ」なんですね。そのおもちゃも、ヒーローが使えば極上の魔法に変わるというところが凄く面白いアレンジでした。
ただ、最終的なローターに行き着くまでに両面裏ソフトを経由する必要はあんまりなかった気はしますが。表ソフト速攻の人も下がるとナックル気味のドライブかけてるの見るし、できる人はドライブかけられるんじゃ。むしろいきなりペンカットの方が無茶っす。



とはいえ、トータルでは素晴らしいクオリティです。よくわからないけど、深夜アニメでやってたわけでしょ?とてもそんな風には思えないっすわ。
卓球云々関係なく本当に良質なスポーツ群像劇になったな、と。
窪塚の「I can fly!」はないけど。


ラベル:卓球 アニメ
posted by ヤマダマコト at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | その他エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする