2019年07月28日

ヤマダ氏「ファイアーエムブレム風花雪月」を買う

ヤマダがファイアーエムブレム風花雪月を買うために最寄りのゲームショップに立ち寄ったのは、発売日の翌日、正午過ぎだった。
前日は痛恨の残業がぶっ込まれ、店の営業時間に間に合わず断念した憐れなオッさんは、「開店直後に店に突入するのは大人の余裕がないのでダサい」というくだらない見栄のために、わざわざこの時間をチョイスしたのである。
また、心に余裕もあった。数年前の「if」の反省から5月のうちに限定版を予約。財布の中に予約票を常備していたのである。発売日に有給休暇を取得しダウンロード版を購入し浮かれるフォロワーのツイートを穏やかな心境で眺められたのも、その余裕ゆえだったのかもしれない。

そもそも、なぜ限定版なのか。
それは、このヤマダという男が相変わらず無頓着で、発売日以外の情報をろくに知らないままゲームショップに行き、店員の説明を聞き流し、いつもの「いっちゃん良いヤツくれや」のメンタリティを発揮したためである。ぶっちゃけ「普通ので良かった」と予約後に少し後悔もしたが、割とどうでも良かった。
だいたい限定版といえばクリアファイルだの微妙なサウンドトラックだのが付いてくるのだが、そういうのは、どちらかと言えば欲しいものでもない。さすがに40歳になろうかというおっさんが持つべきではないだろう。例えばPTAの役員会で、予算書をしまうクリアファイルがファイアーエムブレムだった日には、そのテのものに理解のない保護者の皆さまに白い目で見られかねない。とはいえ、不要なら長男にプレゼントすればいいものでもあるし、まあ、任天堂さんへのご祝儀だと思えば良いと考えていた。



今年は改元もあり5月の10連休の影響で新潟県内の多くの小中学校は夏休みが短めなのだが、それでもさすがに7月27日ともなれば大半の学校が休みに入っており、ゲームショップは家族連れやカードゲームに興じる男子中学生らで賑わっていた。
特に目を引いたのが6年生くらいの男児3人連れ。果汁グミを袋から直食いしつつ、「今度のポケモンすげえぞ」など騒いでいる。少子高齢化が進む昨今、日本の未来を担う彼らだが、今はただただ鬱陶しい。
「お前ら、ゲームなんて遊んでないで外で遊べ」と自分のことを棚に上げ、心の中で文句を言いつつ、ヤマダはレジに一目散に向かう。
店員は六角精児風の同世代のおっさん。正社員かバイトなのか分からないが、ひとまず安心する。そして、「そうだよ! 俺たちが支えてるんだよ、この国をさ!」というなんだかよくわからないシンパシーを感じつつ、予約票を渡す。
この六角精児で良かったとヤマダは心から思う。これがイケメンだったら、勢いで「子どもに頼まれたんで」と言いながらカモフラージュ用にマリオメーカー2まで買ってしまいそうだったからだ。それは28年前、近所のデイリーストアでファミコン通信をカモフラージュにデラべっぴんを購入した思春期の頃に重なる。でも大丈夫。この六角精児は分かってくれる。彼は信じられる。
そして、ヤマダのインスピレーションは間違っていなかった。彼はカウンターの下から「ファイアーエムブレムの限定版ですね」と微笑みつつ商品を出してきた。
しかし彼が両手で抱えてきたのは、そう、ゲームソフトとは思えない、30年前の1/100ゼータガンダムのプラモボックス並みの巨大な代物だった。

「マジか」
「やべえ、ありえね」
その時、ヤマダの心を代弁するかのように背後から声がした。
振り返ると、そこにいたのはさっきの男児3人連れであった。そのクチャクチャ動く口の中には明治果汁グミが見えた。
ラベル:FE ゲーム 日記
posted by ヤマダマコト at 19:42| Comment(0) | その他エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月25日

ヤマダ氏、「ピンポンTHE ANIMATION 」を観る

というわけで夜な夜な「ピンポンTHE ANIMATION」を鑑賞しておりました。
執筆のあとの息抜きを兼ねて。
ピンポンといえば原作コミックは好きですし実写映画も最低限のクオリティは維持できていて、悪くない感じだったんですよね。もちろん、アニメ化したことも聞いていたんですが、あんまりアニメって見ないので、スルーしてました。
今回、うちの長男と卓球で遊ぼうという話になった時に、何か予習させたいなと思ってチェックしてみた感じです。

いやー、これは凄かったですね。なぜ今ピンポン?みたいな疑問もあったんですが、これは納得せざるをえない出来。
まずは絵っすわ。子どもには微妙に見えたらしいですが、個人的には最高。というかコミックまんまやんけという。動くべきところはちゃんと動かすしマンガ風にコマを流すのも面白い。ところどころに低予算を感じさせる微妙な部分もありますが、肝心のゲームを中心に卓球らしさがよく出来ている感じ。オープニングも前半はアレですが後半は凄みを感じるクオリティ。

そして、それ以上に凄いのがシナリオ周辺。
とにかく原作の補完と掘り下げが凄まじいっすわ。
もともとピンポンって松本大洋特有のノリ重視なおかげで、ちょいちょい説明不足であってもテンポや勢いで突っ走る部分が多くて、そこが疾走感を生んでたんですが、今回は地に足のついたスポ根群像劇として完成されていていい感じ。
原作はペコとスマイルの話、映画は尺の関係でよりペコ中心。だけど、今回はドラゴンとチャイナのエピソードを多数追加。オリキャラを出して掘り下げるという試みがなされています。
これが大成功。原作では、個々に読者の想像に委ねていた部分が少なからずあったんですが、そこを原作ファンでも納得するような補完をしているのがスゲーっす。
特にチャイナ関係は中国の卓球をよく勉強しているし、来日後の辻堂の部員らとの交流や母のエピソードを絡めることで、この部分だけで山田洋次監督作品っぽい奥行きがあるほど。
ドラゴン周りは原作でもかなり描写が少なかったんですが、そのあたりも「これでもか」というほど補強してあります。家族や親戚関係、チームメイトとか。
ペコとスマイルの関係も、あえて台詞で説明させたりして原作のバランスを維持しつつ、分かりやすく補完できている。
おかげで全体を通して、すごく感情移入しやすくドラマティックに仕上がってます。
キャプテン太田も電気屋エピソードを加えることでスマイルとの関わりに整合性が取れた感じがするし。
逆にちょい説明し過ぎで興醒めする部分もありました。ドラゴン戦前のペコの台詞とか。
でも、それを差し引いても、十分プラスというか、むしろ初見の人に優しいだろうなと思います。

あと現代向けのアレンジが徹底してたのも興味深いっす。スマホとかSNSとかの演出もそうだし、卓球についてもそう。
原作の時点でペンホルダーの裏面打法は割とポピュラーだったりしたんですが、今回はペコについてはかなりアレンジしてきました。チキータ・ミユータは蛇足だと思いましたが、反転ペンは古くて新しい感じがして面白かった。
日本式の反転グリップは昔からあるんですよね。異質攻守型の選手が使うラケットとして。
女子選手に多いイメージです。片面に摩擦係数の極端に低いアンチラバーを張ったり、粒高張ったりして、ショートや台上でコツコツとミスを待つ感じ。男子ではほとんどいなくて、私の現役の頃は中学の大会でたまに見るくらい。そういえば拙作「テーブルの上のスカイラーク」に出てくる仏具屋のおっちゃんがこの戦型だった思い出。まあ、要するに「おもちゃ」なんですね。そのおもちゃも、ヒーローが使えば極上の魔法に変わるというところが凄く面白いアレンジでした。
ただ、最終的なローターに行き着くまでに両面裏ソフトを経由する必要はあんまりなかった気はしますが。表ソフト速攻の人も下がるとナックル気味のドライブかけてるの見るし、できる人はドライブかけられるんじゃ。むしろいきなりペンカットの方が無茶っす。



とはいえ、トータルでは素晴らしいクオリティです。よくわからないけど、深夜アニメでやってたわけでしょ?とてもそんな風には思えないっすわ。
卓球云々関係なく本当に良質なスポーツ群像劇になったな、と。
窪塚の「I can fly!」はないけど。


ラベル:卓球 アニメ
posted by ヤマダマコト at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | その他エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月25日

ヤマダ氏、ファイアーエムブレムifを購入するも、時の涙を見る

ヤマダは、午後7時に新潟市内の某GEOに滑り込んだ。およそ2ヶ月ぶりの来店だった。
元々、ここにゲームショップができたのは知っていた。そのチェーンもだ。ただ、ゲームショップなぞ年に1回来るかこないか。このショップについては、家の近所とはいえ、一生利用することはないだろうとヤマダは思っていた。
しかし、今回のファイアーエムブレムifの予約騒動が両者を結びつけた。スペシャルエディションという全部入りパッケージを探し求めたヤマダが行き着いたのが、この店だった。
たかがゲームの予約ごときに、いい年した大人が何をしているのだろう?という自虐的な気持ちもわずかばかりある。
ただ、それでも、このボンクラはこのゲームを欲していた。ちなみに仕様はよく知らない。ズボラゆえに事前に調べるようなこともしないのだ。いや、それを大人の美徳と思っている節がある。
子どもは、ゲームの発売前には舐め回すように情報を集め一喜一憂する。けれど、大人のゲームファンはそんなことしない。そう信じていた。名前買いでポンと万札を出す。それこそが大人の特権だと考えていたのだ。

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店に入る。
予約のときにはカッちゃんでもタッちゃんでもなくミナミ区のツタヤでひどい目に遭った。
だから油断は出来ない。
陳列棚では店頭販売分の「売り切れました」の張り紙。まことにザマアミロである。
その前にうなだれる中学生くらいの少年とその妹。水木しげるマンガに出てきそうなネズミ男的な兄は、予約をせずにやってきたのだろう。愚かなヤツめ。そもそも、なぜ妹を連れてきたのか。こちらは体型がフルハウスのDJ系である。今時の女児はアメリカンである。
妹は、兄に「子どもみたいに落ち込まないで」と慰めの声をかけている。DJのくせに良くできたのは妹だ。いやDJだからか。でも残念だ。ジェシーおじさんはもうダメかもしれない。
そんな兄妹を横目に、ヤマダはレジに並ぶ。今回は問題ない。予約票さえ渡せばいい。喋る必要すらない。
もう、もたいまさこは存在しない。
前の姉ちゃんは中古CDを大量購入している。ゴダイゴばっか。渋いっすな。若者に流行ってるんだろうか。ジャケットのタケカワさんもスマイリーに祝福してくれているようだ。
あるんだぜ、愛の国。

やがて、自分の番が回ってくる。
おもむろに予約票をレジのにいちゃんに差し出す。いいとも青年隊にいそうな好青年だ。彼はブツを取りに行く。
その間、「レジに聞いてみないとわからないだろ」と背後から情けな声が聞こえた。
振り返ると、そこにはネズミとDJ。おい。
DJが言う。
「いい加減あきらめなよ。もうゲームとかダサいじゃん。CMキモいし。みんなやらないって」
そして、いいとも青年隊は言う。
「こちらでよろしいでしょうか」
無言になるネズミとDJ。



おいたんも行きたいな、愛の国。
posted by ヤマダマコト at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | その他エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする